映画『HOKUSAI』は面白かった。
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ガラガラの夜の映画館で鑑賞。
葛飾北斎の、長く濃密な人生はもちろん
映画一本で完全に描けるようなものではないが、
苦悩と苦闘と突進の姿を、
時代や周囲の人々も併せてうまく描いていた。
俳優が良いとそれだけでもどうにかなるものだが、
この映画は適材適所の見本だと思う。
あと個人的に、題字が世界観に良く合っていたし、
とても大事に扱われていたのが嬉しかった。
何度でも書くが岩手在住の書家、伊藤康子さんの字である。
エンドロールでもプロデューサー陣の次、
出演者の前に出ていた。重視され具合が尋常ではない。
映画を見て影響を受け、ひさしぶりにネット検索で
情報を見た中に、平塚市美術館の企画展があった。
川瀬巴水、大正・昭和初期の浮世絵師。
このご時世、神奈川に出向くわけにはいかないので
親戚に頼んで図録を入手。
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画廊で初めて見たのは「芝 増上寺」と「野火止平林寺」。
初摺ではなかったはずだが、それでも衝撃だった。
いまでも、好きな絵と言われたらかなり初めに思い出す。
巴水はじつは岩手にも来ていて、中尊寺金色堂を描いている。
これもまた良い。
![](https://blog.catalyze-design.com/wp-content/uploads/2022/05/sIMGP2774.jpg)
切手の初日カバーとかカレンダーの図案も手がけた。
丸囲みや提灯を型どった枠の中に絵を入れる図案で
風景を描いたり、そういう仕事もこなした。
いろいろと試すことが好きだったあたりは
北斎やアルフォンス・ミュシャを連想する。
自分の信じた美しいものを作り続ける執念、
美しさを評価するとき既製の枠には囚われない視野。
見習うにはとてもハードルの高いものだが、
忘れ去ってしまわないようにしたいと思う。