小学生のころによく遊んだ公園を通りがかった。
正確には、わりと頻繁に通りすがりはしているが、
立ち寄るまではしなかった。
珍しく寄ってみたのは、桜がよく咲いているのが
目に入ったからだ。

樹は高さ5mを超えるほどに伸びていた。
記憶に残る桜は、まだ添え木に支えられ
幹も子供の両手で握れるほどの太さだった。
今では、公園がこんなに狭かったかと思うほど大きい。
時間は過ぎたのである。
昔好きだったモノのけっこう上位に
タマゴパン、というのがある。
一戸町のイチノベパンが作っていた。
昨年イチノベパンは経営破綻して工場は売却され、
店頭からタマゴパンもツイストようかんも消えた。
が、先だってスーパーのパン売り場を通りがかると、
タマゴパンが復活していた。

工場を買い取った静岡のパン製造会社さんが
復活させたようである。
俄然、そのパン業者さんを応援する気持ちになる。
味は以前より甘くなった気がするが、
年がら年中買って食べたわりには以前の味を
正確に覚えているわけでもないので、自信はない。
なにしろ、無くなってから、無くなるとわかってから
惜しみだす凡俗の徒なので、消えたときには大いに落胆した。
復活してくれさえすれば、より甘くなって
多少血糖値が上がることになろうとも気にしないのである。
時間が経てば、終わりも来るし始まるものもある。
すべては、傍らを通り過ぎていくだけだ。

新しいお店の準備も慌ただしい。
千客万来を祈るのみである。
